悟っているかのようにして
どうしようもなく何かが必要であるとき
結局のところ身近な人へと走るのだ
必要であることを餌にして
理性では帰らねばと思いながらもすぐにその場の慰めや気休め優しさに流されていく
何がよいかなどわかるはずもない
大抵歳をとるごとに悩むことは減るのだろう
仕方がないのだなんて言い放ち
恥や外聞なんて知らないのさとわざわざ言葉にしてみたり
楽しければよいと何かを置き去りにしながら
そんな風にして自分の言葉を聞く自分のことを固めていく
かくいう自分も仕方がないのだ
結局のところ答えはでないのだ
そんな言葉で自分のことを楽にして
我が儘であることを容認して
あまりにも簡単に身近な人の些細な心を踏みにじんで
相手のために誰かのためになんてことは何もしたことはないのだろう
暮らしの仕方がそれをさすと断ずることも容易くて
たしかにそれもあるのだろうけれど
だけどもそれだけなはずもなく
でも愛や思いやりなんて安直な言葉で全てを纏めようなんてことは受け止められず
結局のところ
分かっていることといえば
今 夕暮れて薄灯りの灯る部屋にポツリと座り光る画面に向かう自分だけだ
そして またもそれを物語かのようにして
何か悟っているかのようにして
小さな小さなものに悩みながら
それでいて自分の欲や業を
無責任に不確かなネットワークに放っている